Breast Center乳腺センター

乳腺センター長
臨床副院長 岩田 真

 2021 年のがん統計予測では、乳がん患者数は94,400人を超えるとされており、具体的には9人に1人が乳がんに罹患することになります。女性のがんの中で最も多いがんで、30才~60才代の日本女性が罹るがんのトップが乳がんです。
 乳がんは他のがん腫に比べて予後が良く、早期乳がんとされているステージIの5年生存率はほぼ100%と言われています。しかし、乳がんで亡くなられる患者さんは2021年のがん統計予測でも14,908人と増加しています。
 欧米では、マンモグラフィによる乳がん検診の普及により乳がん検診受診率が80-90%と高く、乳がんで亡くなられる患者さんが減少してきていますが、わが国ではまだ検診受診率が50%に満たない状態で、亡くなられる患者さんも増加しているのが現状です。
 当院では乳腺センターを開設しており、乳がん検診で精査を勧められていても受診出来ない、しこりに気づき受診したいが予約が取れないなどの声にお応えして、できるだけ早く受診していただけるようにしています。今後も当地区の乳がん診療の充実を図ってまいりたいと思います。
また、乳がんという病気を理解していただき、検診受診率向上のための啓発活動をさらに行っていく予定です。乳がんの予防法はありませんので、みなさんが乳がんは他人事ではないという意識を持ち、乳がん検診を受けていただくようにすることが大切と考えています。

 
主な対象疾患
乳がん

好発年齢は40才以上で症状としては、乳房のしこりです。硬く、大きくなると動きが悪いく、時に乳頭から血性(黒色・茶褐色、又は赤い)の分泌物を認めることもあります。 主な症状:乳房のしこり、皮膚のひきつれ、乳頭からの血性分泌物、乳頭の発赤・湿疹等

乳房パジェット病

好発年齢は40才以上で症状としては、乳房のしこりです。硬く、大きくなると動きが悪いく、時に乳頭から血性(黒色・茶褐色、又は赤い)の分泌物を認めることもあります。

主な症状:乳房のしこり、皮膚のひきつれ、乳頭からの血性分泌物、乳頭の発赤・湿疹等

乳線維腺腫

好発年齢は15〜35才です。しこりに痛みは無く、軟らかくよく動きます。
思春期以降に発症することから、女性ホルモンが影響していると考えられており、  一般的に乳腺線維腫はゆっくりと大きくなり、30代後半で成長が止まり、閉経後に縮小することが多いしこりですが、サイズと大きさの速さによっては、外科的治療を必要とする場合があります。

主な症状:乳房のしこり

乳腺症

乳腺が炎症を起こし、腫れや痛み、熱感を持った状態をいいます。授乳期に、 乳汁が乳腺にたまることや、乳頭から細菌が入ることが原因としています。
細菌感染の場合は、抗生剤や消炎剤や外科的に切開し膿を出す処置を必要とする場合があります。

主な症状:乳腺が硬く、痛みがある 乳頭分泌がある等



検査の種類
  1. 視・触診

    医師の視診・触診により、くぼみや乳頭からの分泌物の確認し、しこりやリンパ節の腫れが無いか等の診察を行います。

  2. マンモグラフィ

    乳房を透明な板で挟んで引き延ばした状態でX線撮影します。乳がんの特徴である石灰化や腫瘤検出します。乳房を強く圧迫することで痛みを伴う場合がありますが、乳がんを薄く伸ばすことで、乳がんの診断精度の向上や、被ばく線量の低減につながります。

  3. トモシンセシス(3Dマンモグラフィ)

    マンモグラフィで、複数の角度から撮影します。多方向から撮影することで乳腺の重なりを解消し、より精度の高い画像が得られます。
    病変を立体的(3D)に画像化することができ、より正確な画像診断が可能です。

  4. 乳腺超音波検査

    乳房に超音波を当てて、正常の乳腺組織としこりを画像化します。

  5. MRI検査

    造影剤を用いて乳腺のMRIを撮影することで、乳がんの発見率を向上できます。

【確定診断のための一般的な検査】
  1. 穿刺吸引細胞診

    しこりを認める場合に行う検査で、超音波を用いてしこりの位置を確認しながら、細い針を数回刺して細胞を採取します。その細胞を顕微鏡で良性か悪性か等の鑑別を行います。

  2. 針生検

    超音波を用いて局所麻酔をした後にしこりの位置を確認しながら、ボールペンの芯と同じ太さ(直径約 2 mm)の針を用いて病変部の組織を採取し、がん細胞の有無を診断する検査です。穿刺吸引細胞診で確定診断にならない場合や、良性か悪性かの確定診断の場合に行われます。

  3. 吸引生検(乳腺腫瘍画像ガイド下吸引術)

    超音波などの画像診断技術を用いて局所麻酔をした後にしこりの位置を確認しながら、針を用いて、病変部の細胞または、組織を採取します。がん細胞の有無を診断する検査で、針生検で確定診断できない場合や、画像検査から乳がんが強く疑われる場合や良性・悪性の判断ができない場合に行われます。

病気の範囲の確認
  1. CT検査

    乳がんは、リンパ節や肺、肝臓、骨などに転移する場合があるため、全身CT検査を行うことがあります。CT検査ではX線を用いて、連続的に撮影することで、断層画像が得られます。

  2. 骨シンチグラフィー検査

    乳がんは骨に転移したかを確認するために、骨シンチグラフィ検査を行うことがあります。骨は常に新しい骨を壊して作り直しているため、骨に病気が生じるとその交換バランスが崩れます。骨シンチグラフィ検査では、骨を作り直している部分の薬剤の染まりを画像化することで骨転移の判断を行います。

  3. PET-CT検査

    がん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用した検査で、ブドウ糖に性質の似た薬剤を投与し、それをがん細胞が取り込むことで、薬剤の染まり具合を画像化できます。他の検査では良性・悪性の判別困難な病変を検出するために行うことがあります。

治療方法
【乳がんの治療】

□ 外科的手術
(乳房切除手術・乳房部分切除術・腋窩リンパ節郭清術など)

□ 化学療法(抗がん剤治療)

□ ホルモン療法

□ 放射線療法

設備等
 CT: SOMATOM Drive ( Siemens )
SOMATOM X.cite ( Siemens )
LightSpeed VCT VISION FREEdom(GE)
MRI: Ingenia 3.0T ( Philips )
Achieva 1.5T dStream ( Philips )
RI (骨シンチ):  Discovery NM630 (GE)
PET-CT:  Discovery PET/CT 710/128 (GE)
骨塩定量検査:  PRODIGY-C ( GE )
マンモグラフィ: Senographe Pristina ( GE )
Senographe DS LaVerite(GE)
スタッフ紹介

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トピックス

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