Robot Endoscopic Surgery Centerロボット内視鏡手術センター

ダヴィンチXi®

当院では令和3年8月に、最新鋭の手術支援ロボット「ダヴィンチXi®」を導入しました。
泌尿器科において令3年11月より前立腺がんの患者さんに対するロボット補助下前立腺全摘除術を開始しました。その後、小径腎がんに対するロボット支援下腎部分切除術、ロボット支援下根治的腎摘除術と対象疾患を広げていき、外科領域においてもロボット支援下S状結腸切除術、ロボット支援下低位前方切除術を開始しております。

「ダヴィンチ®」は、低侵襲技術を用いて複雑な手術を可能とするために開発された手術支援ロボットで、高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像の下、医師がロボットを遠隔操作して人間の動きを正確に再現することで手術を行います。術者は鮮明な画像を見ながら、人の手首よりはるかに大きく曲がって回転する手首を供えた器具を使用し、精緻な手術を行うことができます。

ロボット手術センターは松阪中央総合病院においてロボット手術をより安全に施行していくために外科と泌尿器科が中心となり、令和5年1月に発足したものです。
ロボット支援下手術においては、これまでの外科手術以上に執刀医のみならず、麻酔科医師、直接手術を補助する医師、手術室看護師、臨床工学技士、術後の管理を行う集中治療室看護師や病棟看護師など多職種から形成されるチーム医療が必要となります。ロボット手術センターはその中でも特にコアメンバ-となる医師、手術室看護師、臨床工学技士などそれぞれ“エキスパート”の集まりであり、これらのメンバーが患者さんの治療を行う目的の1点に集中して結成されたものです。
定期的に行うロボット手術会議と手術前後の検討会、必要時には製造会社であるIntuitive surgical®もまじえた検討を行い、適切なロボット補助下手術の実施と精度管理を行っていきたいと考えております。
現在当院で行う事が可能な対象疾患と手術方法

【消化器外科領域】

直腸がん
ロボット支援下低位前方切除
ロボット支援下腹会陰式直腸切断術
直腸は骨盤の骨で囲まれた狭い空間に存在しており、男性では前立腺、女性では子宮や膣が前方に存在するため、従来の腹腔鏡の直線的な器具では周囲の臓器や骨に阻まれてしまい、手術を行うことが難しい領域でした。ロボット支援手術では器具が自由に曲がることにより、狭い空間であっても骨や他の臓器をよけて深くまで入っていくことで、安全に手術が可能となっています

盲腸、上行結腸がん ロボット支援下右結腸切除
横行結腸がん ロボット支援下横行結腸部分切除
下行結腸がん ロボット支援下左結腸切除
S上結腸がん ロボット支援下S状結腸切除
結腸癌に対するロボット支援手術は2022年4月から保険で認められた新しい手術です。 近年、結腸がんの手術は全国的にも腹腔鏡で行われる割合が非常に高くなっています。開腹手術に比較し腹腔鏡では小さな傷から手術を行うことで、開腹手術と同等の治療効果を、より少ないダメージで行うことができます。しかし、腹腔鏡の特性として、直線的な手術器具を用いて行うため、開腹手術と比べると手技が難しく、熟練した術者でないと周辺臓器を傷つけるリスクのあることが問題でした。 ロボット支援手術ではステレオビジョンによる3D画質で、周辺臓器との境界を詳細に見極めルことができ、関節を備えた器具を使用することで、腹腔鏡で得られる小さなダメージというメリットを享受した上、高い安全性をもって手術を進めることが可能となっています。 現時点ではまだ新しい治療であるため、ロボット手術センターで十分に検討したうえで、適応を決めて手術を行っております。

【泌尿器科領域】

腎がん
ロボット支援下腎部分切除術
全摘出術と比較し再発率や生存率に大きな違いはなく、部分切除により腎臓は温存されるため術後の腎臓機能の低下が起こりにくいことが利点です。ただし、病変の大きさや部位により適応が限られてきます。当院では早期発見が功を制したこともあり、2022年度の腎悪性腫瘍手術14例のうち12例がダヴィンチXi®を用いた腎部分切除でした。

ロボット支援下根治的腎摘除術
腎臓は通常2つあるため、腎臓の機能が正常範囲の場合は、片方の摘除であれば残された腎臓の働きで日常生活に特に支障を来さないとされています。腫瘍系が大きい場合や周囲の血管やリンパ節に浸潤している場合に適応となります。通常の腹腔鏡視下でも腎摘除は可能ですが、周囲組織の癒着や血管周囲の複雑な操作が予測される場合は開腹手術やロボット支援下での腎摘除を行う事があります。

前立腺がん
ロボット支援下前立腺全摘除術
他臓器への転移のない早期がんに対して行われる治療法です。精嚢や精管なども合わせて摘出します。以前は開腹術が一般的でしたが、最近ではロボットを使用し出血を少なく、また術後の回復も早いなどのメリットがあり、標準的手術術式となっています。

膀胱がん
ロボット支援下膀胱全摘除術
膀胱全摘除術は、膀胱のみならず、男性では膀胱・前立腺・一塊に切除します。また、多くの場合は尿道を合併切除します。女性の場合は、膀胱・尿道を切除し、子宮・膣の一部と卵巣も一塊として切除します。妊娠可能年齢で挙児希望がある場合は、子宮・卵巣を温存することもあります。尿道に関しては尿路変更で新膀胱を予定するものに関しては尿道を温存します。
 ロボット支援下膀胱全摘除術は、開腹手術と比較して制癌効果は同等であり、出血量が少なく、創部が小さくなることで疼痛による離床の遅れが少ないというメリットがあります。その一方で、手術時間などは延長する傾向があります。

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